サヴァン症候群というのは、知能の発達全般において顕著な遅れがあるのにカレンダー記憶や計算、絶対音感などで非凡な能力を示す状態です。
発表の内容は多岐に渡っており全体像を手短かに紹介することはできませんが、「イディオ・サヴァン」[idiot savant] という仏語の名称を使わなくなった理由を説明している箇所が印象的でした。「イディオ」という単語は当事者に対する敬意を欠く表現です。また、この単語は19世紀の精神医学における定義でIQが20未満であることを示していました。それに対して、カレンダー記憶などの非凡な能力を示す人はIQが40以上に限られています。ですから、この古い名称はやはり不適切というわけです。
自閉症者のうち、この種の能力を有する人は10人に一人以下です。サヴァン症候群の人のうち、自閉症は半分ほどです。もともと普通の知能があった定型発達の人が、怪我による脳の損傷でサヴァンになった例もあるそうです。さまざまな検査の結果、いずれのばあいも左脳に損傷があり、右脳がそれを補うようになった結果だと考えられています。
サヴァン能力のある人を教育するばあい、優れた部分を伸ばすことで、それ以外の部分を補えるようになる可能性があるそうです。
講演ではトレファート博士の頁も紹介されました。
サヴァン能力を伸ばすための本もあります。共著者の一人はテンプル・グランディン教授です。
Developing Talents: Careers for Individuals with Asperger Syndrome and High-Functioning Autism, by Tony Attwood (Foreword), Temple Grandin, Kate Duffy