2005年11月04日

Autism2005: 遺伝の分科会

このネット会議における遺伝関係の発表は一つだけで、ノルウェーのオスロ大学で教授をしているカール・ライヒェルト博士によるものです。博士は自閉症児のペプチドやグルテンとカゼインの関係を長年研究しているかたです。遺伝子解析などを行なっているかたではないと思います。


ライヒェルト博士によると、同じ遺伝子を持っている一卵性双生児でも片方だけが自閉症という例が存在することから分かるとおり、遺伝だけで自閉症になると考えるには無理があるそうです。これまで行なわれてきた遺伝子の研究でも、自閉症に関係すると見られる遺伝子が沢山あり、一つの遺伝子から一つの結果が出てくるような図式よりずっと複雑な関係であることが分かりつつあります。要するに遺伝と環境の相互作用によって発症するという考えです。ただし、環境といっても心理的な環境因子のことではないようです。

遺伝と自閉症の関係を解き明かす鍵の一つとして、博士はフェニルケトン尿症やレット症候群の例を挙げ、遺伝子 (DNA) とRNAと酵素の関係について詳しく説明しています。そして、特定の酵素が不足していることで起きる神経学的な症状は生化学的方法で軽減できると主張します。又、特定の酵素を活性化させる補酵素としてB6などのヴィタミン補充による効果も説明できます。

水銀も、酵素を破壊する力が強く、生化学的な因子によって自閉症になりやすい体質の持ち主にとっては大きな影響力をもちうるそうです。

遺伝、生化学的作用、水銀などの有害物質と自閉症との関係は、レイヒェルト博士にとっては理論的に矛盾しないようです。

posted by iRyota at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 生化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック