教育の分科会では三つの発表がありました。ジュリー・ドネリー先生 (Ph.D) による米国での教育支援について、キャロル・ラザフォードさんによる自閉症児の社交について、リタ・ジョーダン教授による教育方法の選択についてです。ドネリー先生は自閉症児の教育について、米国のいくつかの大学で教えています。お子さんは自閉症です。親として、特別教育の専門家として、30年間の経験から、さまざまな年代の子どもたちの事例を挙げ、どのような教育が行なわれているかを紹介しています。ドネリー先生の団体へのリンクもあります。
キャロル・ラザフォードさんはオーティズム・イン・マインド (Autism-in-Mind) という親の団体を創設したメンバーの一人で、親たちの支援のかたわら、自閉症児の学ぶ環境を改善するため、社会にはたらきかけています。ラザフォードさんの主張は明快です: 自閉症児を同年齢・定型発達の集団に放り込むだけで社会性は育たちません。本人にその集団の規則を教えることも必要だし、まわりの子どもたちにも準備が必要です。英国では、学校の教育環境に不満を感じ、不登校・家庭教育を選択する親が増えているそうです。これは多くの学校が条件を満たしていないことを示しています。
ジョーダン教授は英国バーミンガム大学のキャンパスで学生や親たちへの教育を行なうとともに、ネット経由でも専門家や親たちと協力し、研究活動の監督をしています。自閉症児に効果があったと主張する米国発のさまざまな方法に対して、学術的な検証の有無や、長期的に見て意義のある効果かどうかなど、沢山の厳しい基準を設けて慎重に判断することを主張しています。又、効果を裏付ける証拠があっても苦痛やストレスの大きい方法の使用は倫理に反すると考えています。