ダイアン・ケネディさんの発表は、ADHDと診断された子どもたちの中に多数のアスペルガー症候群が存在することについてです。
レベッカ・ランダ博士の発表は、自閉症児の妹や弟として生まれた子どもたちの早期発見に関する調査報告らしいですが、要旨だけしか公開されていません。
トニー・チャーマン教授の発表は、2歳で自閉症と診断された子どもたちが7歳になるまで行なわれた追跡調査の報告です。
ランダ博士のもう一つの発表は早期発見についてです。
パトリシア・M・ロディエ博士の発表は胎児の研究らしいですが、要旨も本文も公開されていないようです。
ポーリン・フィリペック博士の発表は、自閉症児の妹や弟を対象にした早期発見の手がかりについてらしいですが、要旨も本文も公開されていないようです。
ケネディさんは、お連れ合いとお子さんがアスペルガー症候群です。ADHDとアスペルガーの関係について著書を公刊しています。子どもたちの10人に一人がADHDと診断されていますが、その約半数がほかの症候群を合併しているそうです。正式な診断が出ていない例も含めると、ADHDの8割は別の症候群を合併しているかもしれません。ケネディさんによると、特にアスペルガーの子はADHDとの区別が難しく、誤診の結果として適切な支援が得られない例が多いそうです。
ランダ博士は米国ボルティモアのケネディ・クリーガー研究所にある自閉症研究センターの所長です。博士の行なっている調査は、自閉症児の妹や弟たちと、定型発達児の妹や弟たちの乳児期の発達を比較したものらしいですが、くわしいことは発表されていません。
チャーマン博士はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで臨床心理学を教えています。今回の発表では、2歳の時点で自閉症と診断された子どもたち26人の追跡調査で、3歳と7歳の時点における状況です。自閉症の特徴として診断の基準とされる三つの側面は、2歳の時点でのデータと7歳時点でのデータで変化があり、どういうタイプの自閉症児に成長するかを予測する手がかりにはなりませんでした。ただし、音声言語以外の手段によるコミュニケーション行動に関するデータは、2歳時点のものが7歳時点での言語や社会性と相関を見せており、予測の手がかりになりうると考えられます。3歳時点でのデータは2歳時点でのデータよりも7歳時点でのデータとの相関を強く示しています。早期診断は重要ですが、2歳での検査で注目すべきは非言語コミュニケーション、さらに3歳になってからの検査も重要ということになりそうです。
ランダ博士の研究所では、自閉症スペクトラムに該当する24人の子どもたちを継続的に調べています。生後36ヶ月で自閉症スペクトラムと診断された子どもたちですが、その約半数は14ヶ月時点での検査で自閉症スペクトラムに該当しませんでした。ただし、14ヶ月で該当しなかった子どもたちのかなり多くは何らかの発達の遅れが顕著にあったそうです。特に多かったのは発語の遅れです。こういった点をふまえ、たとえばイナイイナイバアのようなコミュニケーション行動が見られる赤ちゃんでも、その頻度がどのくらいなのか注意する必要があるとランダ博士は考えています。定型発達児に比べれば少ないのかもしれません。