2005年10月29日

Autism2005: 生物医学的アプローチ

この分科会での基調講演は三つです。ポール・シャトック先生による生物医学的方法全般に渡る問題提起と、デヴィッド・カービーさん、サリー・バーナードさんによる水銀と予防接種関連の講演です。

カービーさんの講演は、予防接種の水銀と自閉症の増加、それにさまざまな政治的やりとりについてです。バーナードさんの講演は、かつて発表された論文と同じです。

ここではシャトック先生の講演を紹介します。内容は、さまざまな研究の具体的な報告ではなく、ダイエットや栄養剤の研究に対する協力が得られにくいことについてです。
サンダーランド大学自閉症研究班でダイエットや栄養剤による生物医学的方法を研究しているポール・シャトック先生はもともと薬剤師ですが、お子さんが自閉症です。親として、英国や欧州で自閉症関係の団体の役員をしていますが、今回は金銭的な影響や政治的な影響のほとんどない個人として発表を行なうと言っています。実際、大学からの定期的な給与以外には、ときどき行なう講演の謝礼を受け取るだけで、どの会社や団体からも研究資金の供与を受けたりはしていないそうです。本の売り上げを促進するような宣伝も行なっていません。

シャトック先生が行動の基本的支柱としていることは四つあります。

1. 当事者の尊厳、当事者への敬意を促すこと。
2. 根底にある生物学的な諸要素。
3. 保護と励まし。
4. 教育。

この四つの協力が必要で、どれが欠けてもうまくいかないという前提で、今回は生物学的な側面に絞って講演しました。

具体例に一つは、水をがぶ飲みする行動です。教育的な方法でやめさせることを考える前に、食道の炎症などが起きていないかを確かめる必要があるとシャトック先生は言います。

何か生理的な原因があるなら、薬で症状を抑えるより、その原因に即した方法がより効果的で副作用も少ないと考え、サンダーランド大学の研究班は自閉症児の生理について80年代から研究してきましたが、医学界の反応は概して否定的でした。もしかしたら、薬の売り上げが減ることを恐れる製薬会社が医学界に影響を与えているのかもしれないというシニカルな考えが浮かぶこともシャトック先生にはあるそうです。

たとえば自閉症児のペプチド異常が発見され、二重盲験やそれに近い精度の臨床実験が必要であることを公的な委員会が認めているにも関わらず、その種の実験に対する資金の交付は後回しにされる状態が何年も続いています。

セクレチンについては、一部で顕著な効果の見られる例もあるので、対象を限定した二重盲験を実施しなければ分からないと考えています。効果のあった一部の被験者と、効果の無かった何人も被験者のデータを平均しても、効果を証明できない結果に終わるのは当然です。

すでに沢山の家庭で実施されている療法でも、その効果や安全性を検証する大がかりな実験が行なわれない理由、行ないたくても資金が交付されない理由は、考えてみる必要がありそうです。
posted by iRyota at 08:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 生化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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