内容はレオ・カナーとハンス・アスペルガーの報告から始まり、日本でも知られている一般的な話がほとんどです。ただし、根拠となる資料を示し、論文形式で書かれています。
ただし、日本や米国で一般的に言われていることと違う点を挙げてみましょう。
1996年以降の調査で、自閉症児は子ども1万のうち58人、つまり172人に一人の割合で発見されたという報告が存在することに触れており、発症率が時代や地域によって変化する可能性もあるという考え方を紹介していることです。
原因についても、遺伝が大きく関わっていることを認めつつも、死後解剖で脳の障害を発見した例が少ないことや、ほかの要因が存在する可能性も認めています。(親が冷たいせいという意味ではありません。)
行動療法的な方法としてロヴァス式と東学園とサンライズを挙げ、どれもマスメディアによって注目された方法として扱っています。ロヴァス式を学術的な裏付けのある方法として米国の小児医学会が認めているのとは違っています。
自閉症者を支援する機関や専門家については、信頼できる支援者であるかどうかを判断する基準として、英国自閉症協会 (National Autistic Society) による認定制度のことを紹介しています。
Setting the Scene - An Introduction to Autism and Related Disorders