このDMPSを皮膚にすりこむ方法が2004年の春から米国の親たちのあいだで評判になっています。経皮 (trans-dermal) のDMPS投与、TD-DMPSです。
この方法を開発した外科医のラシッド・ブッタール博士は毒物学の認定医でもあり、キレーションの経験もありました。1999年に生まれた息子さんが自閉症と分かり、沢山の涙を流したあと、3歳の誕生日から、お子さんを第1号とする31人の自閉症児を対象にTD-DMPSを実行し、尿から大量の水銀が検出されたことを確認し、水銀が出れば出るほど症状も改善されたと主張しました。2004年の5月には連邦議会で証言し、その原稿も公開されています。
博士が明言しているのはTD-DMPSを実施した後31人全員の尿中水銀が高かったことと、排出される水銀が多い例ほど症状の軽減も大きかったことです。ただ、証言全体の調子は、あたかも31人の自閉症児全員に効果が見られ、全ての自閉症が水銀中毒であるかのような印象を多くの人たちに与えました。
この方法に対するアンディ・カトラーさん (Ph.D) の見解も紹介しておきます。
ブッタール博士が素晴らしい人物であることを認めつつも、化学者として疑問に思う点をアンディさんは正直に述べてきました。昨年、この方法が評判になった時点で、DMPSが空気に触れると酸化しやすいことや、経口投与の方が吸収率は良いことなどを疑問に思っていたのです。これまでのどんな報告でもキレーションで効果が見られるのは自閉症児の4分の3程度だったことを振り返ってみると、全ての自閉症児にTD-DMPSで効果があったかのように言うのは誇大であるように考えていました。
また、DMPSでは脳内の水銀を排出できません。
経口投与と違って腸を経由しないので腸内イースト菌の増殖を招かないとDAN!ドクターたちが主張しだしたことに対して、DMPSは経口でもそれほどイーストの増殖を招かないとアンディさんは述べました。(ブッタール博士の実施している投与間隔が48時間おきであることも、分かってきました。)
ただし、アルファリポ酸の投与でひどく悪化するようなら、しばらくTD-DMPSを続けてみるのも良いと言っています。もしTD-DMPSを実施するなら、血中濃度を一定に保てる8時間おきが良いそうです。
2004年の暮れになると、TD-DMPSを塗った箇所の皮膚が荒れて出血したり、傷痕が残る例も知られてきました。
31人中で効果があった人数も30人、23人、19人と徐々に下方修正されてきました。
もしDMPSが皮膚から吸収されるとすれば、手の皮膚からも吸収されるので、アマルガムのある人や妊娠中の人は避けた方が良いそうです。もし実施せざるをえないなら、ビニールの手袋とポリエチレンの手袋を重ねて使う方が良いです。
やがて、親たちの情報から、ブッタール博士の開発したTD-DMPSにはグルタチオンも配合されていることが分かりました。これはDMPSの酸化防止に役立っている可能性があります。
親たちの評判はどうでしょうか?
2005年になると、このTD-DMPSを子どもたちに実行している親たちが協力してジェネレーション・レスキューという団体が活動を始めました。報道機関にも積極的にはたらきかけ、テレビのニュース番組にもなりました。
DMPSがどの程度の率で経皮吸収されるかを確認した客観的なデータは無いと聞いています。ブッタール博士は急性の水銀中毒をキレーションで治療した経験と勘で、皮膚を通した吸収も可能と判断したようです。皮膚を通すことで吸収がゆっくりになるため、血中濃度を維持する効果もあり、副作用も少ないのかもしれません。
又、ブッタール博士の講演を聴いた人は、その情熱的な話しぶりに印象づけられることが多いと聞いています。
いずれにしても、比較的早い時期に効果の見られる子どもたちは少なからず存在するようです。長期的な効果については、今後の報告が待たれるところです。
iryota様 このhttp//asdnews.seesaa.net/article/7640053.html報告を読ませていただき大変そのフェアーで詳細な報告ぶりに感心しました。
個人的にコンタクトしたいのですが上記にメールいただけませんか?