そういう後発型自閉症の存在を証明する客観的な証拠が初めて発表されました。シアトルにあるワシントン大学で行なわれた調査のようです。1歳と2歳の誕生日に家庭で撮影したヴィデオを集めて、比較検討し、そういう後発型の存在を確認しました。対象となったのは自閉症の幼児36人と、通常の発達を見せている子供たち20人です。親たちの申告によると、自閉症児36人のうち15人は後発型で、21人は早発型ということでした。
調査はヴィデオの比較検討と、親たちへの聴き取り取材の両面から行なわれました。
早発型、言わばもともと自閉症だった子供たちは、1歳になった時点で発語が少ないか無発語で、行動のしかたに自閉症の特徴も見られ、2歳になった時点では後発型の子供たちより発達の遅れが著しいという結果でした。
後発型の子供たちは、1歳になった時点で、通常の子供たちよりも高度な発語が見られ、自閉症の特徴は見られませんでしたが、2歳になった時点では退行しており、自閉症の特徴がいくつか確認されました。
どちらの自閉症児も、3・4歳の時点で症状の重さに差は無かったそうです。
昔から一部の親たちが主張してきた退行は事実だったとワシントン大学自閉症センターのジェラルディン・ドーソン教授は記者会見で述べたそうです。
この研究は E.Werner 著の論文として Archives of General Psychiatry [一般精神医学資料集] という専門誌の第62巻8月号に掲載されました。今回、海外自閉症情報で参考にしたのは、ワシントン大学による記者会見に基づいてWebMDという医療関係のネット新聞に載った記事の方です。