2005年05月23日

IOMの調査委員会 2004

ワクチンと自閉症の関係を否定する立場の主張がなされるとき、根拠として必ず示されるのがIOM調査委員会による2004年の最終答申です。どちら側に立つにせよ、最も重要な報告と言えます。

予防接種の安全性に関するIOMの調査委員会は、2001年から活動を続けてきましたが、2004年2月、ワクチンと自閉症に関する公開の会議を行ない、2004年5月に最終答申を発表して解散しました。この答申では、DPT三種混合ワクチンやB型肝炎、インフルエンザ・ワクチンなどに含まれているチメロサール (水銀化合物) に関する議論と併せて、水銀の入っていないMMRワクチンと自閉症の関連についても検討されました。

2004年2月に行なわれた公開検討会の録音と発表用スライドは、下記のリンクで視聴できます。


以下、もう少し細かく紹介します。

委員長をつとめるハーヴァード大学マリー・マコーミック教授 (MD・Sc.D) の挨拶

医学博士 (MD) でもあるデイヴ・ウェルドン下院議員の演説

コロンビア大学メイディ・ホーニッグ準教授 (MD)
 免疫機能の弱いネズミに、体重計算で90年代米国の乳児と同程度に相当するチメロサールを注射したら脳が大きくなり、自傷や他傷を始めた。

カナダの研究所につとめるクマナン・ウィルソン博士 (MD, MSc) の発表
 過去に発表された論文を調べ、MMRワクチンの接種率と自閉症の発症率に統計的な関連は見られなかった。

CDCのフランク・デステファーノ博士 (MD) による調査報告
 生後18ヶ月でMMRワクチンを接種した子の集団と36ヶ月で接種した子の集団で自閉症の発症率に差がない。

英国の研究所につとめるエリザベス・ミラー医師による調査報告
 WHOの資金で行なわれた調査 (当時未発表) によると、乳児期の予防接種に含まれる水銀の量と自閉症の発症率に負の相関が見られた。

ワシントン大学ロバート・L・デイヴィス教授 (MD) による発表
 CDCのデータベースによる最初の調査で水銀と自閉症に相関は見られたが、データの再検討で、相関は見られなくなった。

デンマークでワクチンを開発している国立血清研究所の疫学者アンダース・ピーター・フヴィード先生の発表
 デンマークで水銀入りのワクチンを全廃しても自閉症は増え続けた。

遺伝学者マーク・R・ガイアー博士 (MD, Ph.D) と息子のデヴィッド・ガイアーさんによる発表

 ワクチン被害報告データベース (VAERS) を使った調査で、水銀と自閉症に相関が見られた。CDCのデータベース利用を申請したが、なかなか使わせてくれず、やっと許可がおりてアクセスしたが、データは改ざんされていた。水銀が神経の発達に有害であるという証拠は山ほどある。

アリゾナ大学の毒物学者H・ヴァスケン・エイフォジアン教授 (Ph.D) の発表。
 尿や毛髪の調査結果から見て、自閉症児は水銀の排出能力が弱いという仮説を支持する。遺伝子の研究とも符合する。脳内の水銀を排出できる薬は発見されていない。

ベイラー医科大学のデヴィッド・バスキン教授 (MD) による報告
自閉症児から採取した細胞サンプルと、症状の無い兄弟姉妹から採取した細胞サンプルを使った実験で、自閉症児の細胞の方がチメロサールによる損傷が大きかった。

全米アレルギー伝染病研究所のポリー・セイガー先生による発表
 バーバッカー教授によるサルの実験 (当時未発表) を報告したもので、チメロサール由来のエチル水銀は排出が速いと主張、ただし会議で発表されたデータには間違いがあり、後に訂正された。

ケンタッキー大学化学科長ボイド・ヘイリー教授 (Ph.D) の発表
 チメロサールの研究を始めたら研究資金が交付されなくなった。動物実験で、男性ホルモンがチメロサールの毒性を倍増させ、女性ホルモンが半減させる。ホームズ博士 (MD) によって行なわれた毛髪水銀の調査報告も含む。


自閉症児の父親で医師、ステットソン大学兼任教授のジェフ・ブラッドストリート博士 (MD) による発表
 自閉症児の尿中水銀、後発退行型自閉症児の脊髄液から検出された麻疹ウイルスRNA。

ユタ州立大学研究員ヴィジェンドラ・K・シン準教授の発表
 麻疹の抗体が多い自閉症児について。

フロアからの意見 沢山の親たちが体験を述べました。キレーションでお子さんが劇的に変わったと主張する親のかたもいました。招待されず、自費で駆けつけた研究者による発表もありました。


一日分の議事録もあります。


委員会の最終答申は5月に発表されました。結論の要点は以下の通りです。

・ワクチンの接種率と自閉症の発症率を比較した総人口調査の結果を重視し、MMRワクチンと自閉症の因果関係を否定する立場が好ましいと判断する。
・同じく接種率と発症率を比較した総人口調査の結果を重視し、チメロサールと自閉症の因果関係も否定する立場が好ましいと判断する。
・ワクチンと自閉症の関連を示す証拠は理論的な次元にとどまっている。
・予防接種の実施に関して、これまでの方針を見直す必要はない。
・今後、ワクチンと自閉症に関する研究は奨励しない。


発表にあたって行なわれた記者会見では、これに加えて、「圧倒的」(overwhelming) な証拠に基づいた結論として、ワクチンと自閉症は無関係だと主張がなされました。因果関係を証明するには不充分、という結論ではなく、関係そのものが無いと言うのです。


この最終答申は書籍になっていますが、ネット上でも無料で閲覧できます。医療機関でキレーションを行なうばあい、倫理委員会の審査を通すべきだと委員会は述べています。
posted by iRyota at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 重金属 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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