5月22日にCNNで、自閉症を扱った短編映画が放送されます。Autism Is a World [自閉症は一つの世界] という題名のドキュメンタリーです。
CNNアジアでの放送予定は以下の通りです。
5月22日 (日)
12AM ET Asia/ South America
6AM ET- Asia/ South America
長さは40分で、監督はジェラルディン・ワーツバーグさん、ナレーターはERにも登場しているジュリアナ・マーグリーズさんです。
内容は、ホィッティアー大学に通う自閉症者スー・ルービンさんの過去と現在の生活、自閉症の内面についてです。スーさんは13歳まで重度の遅れがあると考えられており、IQテストの結果はいつも29、発語は無く、自傷がありました。13歳のときにキーボードを使った対話のしかたを覚え、少しずつその内面を周囲の人へ見せるようになりました。再検査で判明したIQは133で高校は普通学級に進みました。歴史学を専攻するスーさんの大学生活、友人と支援スタッフ、物や水への拘りなど、自閉症特有の行動について本人の文章で解説されます。
この作品は2005年の1月、アカデミー賞の短編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。
5月には米国自閉症協会 (ASA) のメディア優秀賞も獲得しました。
作品のヴィデオは米国にある16000の図書館で所蔵される予定です。
この映画の中でスーさんが行なっているのはファシリテーテッド・コミュニケーション (Facilitated Communication)、通称FCという方法です。FCは一種の筆談です。指先の制御が不確かな自閉症に対して、介助者が手を添えて、キャノンのコミュニケーターという機械などを使って文章を書かせます。
FCの効果については90年代にセンセーショナルな報道がありましたが、たびかさなる実験でもその効果が証明できず、学会でも否定的な扱いを受けました。その後は地道な実践も続いていたようです。
FCについては『自閉症児イアンの物語』という書籍が参考になります。筆談に関しては日本での実践を紹介した『僕が自閉語を話すわけ』も興味深いです。
CNNの頁で、番組に関する沢山の画像とヴィデオが見られます。
http://edition.cnn.com/CNN/Programs/presents/index.autism.world.html
以下はFCに関するリンクです。90年代のブームが去ったあとも研究が続けられ、一部の自閉症児には有効であることを確認した学術論文もあると主張しています。論文の題名や要旨も公開されています。
http://edition.cnn.com/CNN/Programs/presents/shows/autism.world/fc/index.html
自閉症を個性として受容すべきと言う立場と、治療法を見つけるべきと言う立場の対立について、スーさん自身の文章が公開されています。スーさん自身は治療派です。
Acceptance vs Cure
スーさんの母親リタ・ルービンさんの文章です。
Living with an autistic child
彼女のクライアントの中でも2人使っていて、1人の子は、赤と青の判別を18ヶ月やってもできなかったのが、FCを使ってから、2週間で、私は青いシャツを着たい みたいな、文章がつくれるようになったそうです。
すごいですね。
僕が個人的に知っている範囲でも、耳から入ってくる言葉を理解でき、唇や指先の細かい制御が苦手な自閉症児は存在します。
頭の中で言葉を理解していても、それを発音するのが難しく、非常にゆっくりとしか言葉を発することができないという例は水銀中毒でも頻繁にあるようです。
http://edition.cnn.com/CNN/Programs/presents/index.autism.world.html