2005年04月25日

エチル水銀とメチル水銀: サルの実験

チメロサール (エチル水銀を使った殺菌剤) を注射したサルとメチル水銀を注射 [食物チューブで摂取] したサルを使って血液中の水銀や脳内の水銀を調べたところ、血中濃度と脳内の総水銀量はエチル水銀の方が速く低下するけれど脳や腎臓内の無機水銀は増えていたという報告が発表されました。

この報告から、血中濃度と脳内の総水銀量に関してエチル水銀の方が速く低下したという部分だけを強調して報道した機関もあります。かなり詳しく報道していますが、エチル水銀はそれほど危険ではないという印象を与えます。

これに反発した親たちの団体が、意見を発表し、これも報道されています。メチル水銀もエチル水銀も有機水銀で、哺乳類の体内では次第に無機水銀へと変化します。実際に脳や内臓を破壊するのはこの無機水銀です。今回の実験で分かるのは、エチル水銀の方がメチル水銀より変化が速く、結果として無機水銀になって脳や腎臓に溜まりやすいこと、つまりエチル水銀の方が危険だと主張しています。

posted by iRyota at 06:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 重金属 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
補足します。この研究は米国の政府資金によって行なわれ、環境と保健に関する政府の広報誌である Environmental Health Perspective、通称EHPという雑誌に論文が載りました。バーバッカー博士による論文はしっかりした内容です。掲載にあたって編集委員による発表が行なわれたのですが、親たちの情報によると、最初の4月21日発表で誤報が流された様です。
http://health.groups.yahoo.com/group/Autism-Mercury/message/136940

28日に内容を訂正して、新たな発表が行なわれたようです。
http://ehp.niehs.nih.gov/press/042105.html
Posted by iRyota
Posted by iRyota at 2005年04月30日 08:56
BBCも、脳や血液中のエチル水銀濃度がメチル水銀より速く低下したことを強調して報道しています。ただし、エチル水銀を注射した集団の方で脳内の無機水銀が増えていたことも忘れずにつけ加えています。実際に神経を破壊するのは無機水銀であることを述べていれば、より全体を把握しやすい報道になったと思います。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4472485.stm
Posted by iRyota at 2005年04月30日 09:04
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