2005年04月11日

豪州: セクレチン鼻スプレー

セクレチンはもともと下痢の治療に使われてきたホルモンです。セクレチン注射の直後に発語が始まったなど自閉症状緩和の例が報告され、90年代にブームがありました。その後いくつか大規模な二重盲験が行なわれ、下痢など消化器症状を伴う自閉症児を対象にした実験では効果が確認されました。そういう条件をつけずに集めた自閉症児が対象の実験では、偽薬を使った集団と比較して有意の差が見られませんでした。

差が見られなかったという結果だけが何度も報道され、セクレチンの効果は幻想だったと思っているかたが今は多いようです。日本で長年つかわれてきた合成セクレチンも、米国で親の方が経営している会社が商品化してきたブタのセクレチンも製造中止になったようです。

これまで日本や米国でセクレチンを続けてきた家族はそれで困っていたのですが、オーストラリアに住んでいる親のかたが、鼻からスプレーするセクレチンを紹介してくれました。Secretin Nasal Spray [セクレチン鼻スプレー] 略して Secrenase [セクレネーズ] という商品名です。



注射のばあいは月1回でしたが、鼻スプレーは1日1回が標準のようです。処方箋もいりません。まだ長い歴史はなく、効果に関して確証は得られていないかもしれませんが、消化器症状を伴う自閉症のお子さんでこれを試しているかたも出てきました。若干多動になる例もあるようです。伝統的なセクレチンの使用法と同じように、下痢にも効果があるかもしれません。

posted by iRyota at 05:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 生化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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