自閉症が心理的な原因によるものではなく、生物学的な原因による症候群で、脳に特徴があることを実際に発見し、世間に示したのはクールシェンヌ教授の研究室であると言ってさしつかえないでしょう。自閉症児が千人に一人とされていた時代から研究を続けているので、大学の教授紹介頁でまだ千人に一人とおっしゃっているのは更新忘れでしょうか? (大きな大学の公式頁には、こういうこともあります。)
これまで学会や専門誌に成果を報告し続けてきたクールシェンヌ教授ですが、最近は Center for Autism Research [自閉症研究センター] として独自のホーム頁から情報発信も始めています。画像も交え、分かりやすい英文で説明がされており、自閉症と脳の関係に興味がある人にとっては参考になる点が多いです。
頭囲が非常に大きめであることを発見したのは、最近の研究で特に注目されている点です。巻き尺という最もローテクな方法で沢山の子どもたちの頭囲を測り、生後6から14ヶ月の期間に頭が急激に大きくなる傾向を確認しました。これは自閉症の子どもたちと定型発達の子どもたちの集団を比較したときに見られる傾向なので、個人的な例外もあります。頭が小さい自閉症児もいれば、頭が大きい定型発達の子もいます。自閉症児の中では重度の子の方が頭は大きめの傾向にあります。
MRI (Magnetic Resonance Imaging)、つまり磁気反響画像というハイテクな方法で頭の内部も調べ、大脳が大きくなっていることや小脳が小さくなっていることも確認されています。大脳でも特に大きくなるのは前頭葉、リンク先の画像では薄紫の部分です。