2006年11月01日

サイエンティフィック・アメリカンの鏡ニューロン特集

Scientific American [サイエンティフィック・アメリカン] は、さまざまな分野の第1人者がそれぞれの研究について分かりやすい英語で解説する月刊誌です。この雑誌の2006年11月号にミラー・ニューロンの特集が載り、自閉症との関連も大きく採り上げられました。ただし、 "Broken Mirrors" [割れた鏡] という題名が使われていたりして、自閉症を個性や才能として考える人にとっては認めがたい視点かもしれません。

最初にお断わりしておきますが、この特集の英文では全て "mirror neurons" という表記になっており、最後に必ず s が付いています。つまり、たった一つのニューロンを指して「ミラー・ニューロン」と呼んでいるわけではなく、複数の、おそらく沢山のニューロンから成り立っている回路全体を「ミラー・ニューロンズ」と呼んでいると考える方が妥当です。

特集は二つの長い記事から成り立っています。

一つは、サルの脳を使った実験でこの回路を発見したイタリアの研究者たちによる記事で、この回路に関する研究全体を基本的なところから最新の発見まで、8頁にわたって解説しています (Giacomo Rizzolatti, etc., "Mirrors in the Mind")。興味ぶかいのは、顔の表情から他者の感覚を察知すると、自分自身も同じ感覚が呼び覚まされることです。いわゆる、もらい泣きなきなどの共感作用が実際に起きていることを神経科学的に確認できたわけです。実験で確かめられたそれぞれの行動は、その前後関係や予想される目的によって別個の行動として認識されていることも分かりました。この回路と学習能力や言語の発達との関係にも科学者たちは注目しているようです。

もう一つは、このブログで紹介したこともあるUCサンディエゴ校の研究者たちによる8頁の記事で、ミラー・ニューロンズと自閉症に関する解説が中心です (Vilayanur S. Ramachandran & Lindsay M. Oberman, "Broken Mirrors: A Theory of Autism")。内容はレオ・カナーやハンス・アスペルガーの報告から始まり、自閉症に関する基礎的な知識をなぞり、いわゆる「高機能」と呼ばれる自閉症児を対象にしたミラー・ニューロンズの作用を調べた実験を中心に、自閉症に関する神経科学的な研究の全体像を示します。

UCサンディエゴ校での研究については、このブログで以前に紹介した記事と同様なので、あらためて詳しくは紹介しません。ただ、"salience landscape" [飛び出す風景画?] という仮説が紹介されており、これは興味深いです。そのうち紹介したいです。

今回の特集は図解が分かりやすいので、興味のあるかたは街の書店で紙の雑誌をお求めになるのが良いと思いますが、二つめの、つまり自閉症に関する記事はネットでも公開されている様です。

Broken Mirrors: A Theory of Autism. By Vilayanur S. Ramachandran and Lindsay M. Oberman.




posted by iRyota at 08:13| Comment(2) | TrackBack(1) | 脳と神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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