台湾では、自閉症児106人を性別・体重・言語能力に応じて同程度のペアに分類し、それを無作為抽出し、一方にDMG、もう一方に偽薬を飲ませる二重盲験を行ないました。DMGの投与量は体重1キログラムあたり6.94から10.41ミリグラムです。4週間の投与を行なったあと、2週間の休養期間をはさんで、二つの集団を交代させ、最初に偽薬を投与した集団にDMG、最初にDMGだった集団に偽薬を投与して4週間の実験を行ないました。最初の4週間が終わった時点で22人 (21%) が脱落し、10週間後には61人 (58%) が脱落しました。これでは適切な比較ができないので、最初の4週間が終わった時点での検査結果だけを分析しました。78%で症状全般と発達に効果が見られました。約7%で不眠やイライラなどの副作用が見られましたが、そのうち78%は葉酸の補充で解消できました。ただし、自閉症児の症状や発達の度合いは個人差が大きく、推測に頼らざるを得ない面も大きいので、厳密な評価は困難です。それでもイライラ、倦怠感、同一性保持、多動、不適切な言語などの症状に対して、軽度から中度の改善が見られたと判断されました。ただし、今後の課題として長期にわたる効果の検証は必要です。
90年代末期に台湾で行なわれた実験で、2000年に台湾の医学雑誌に掲載されましたが、日本ではほとんど知られていない報告なので、あえて紹介しました。以下の頁で英文による要約を閲覧できます。
Shin-Siung Jung, Yueh-Ching Lee. (2000.) "A double blind study of dimethylglycine treatment in children with autism." Tzu Chi Medical Journal 12: pp. 111-121.
http://www.tzuchi.com.tw/tcmj/89-2/8902-6en.htm