ネットでも検索すればいくつか見つかりますが、そのうちの一つである『スコッツマン』紙に掲載された記事へのリンクを示しておきます。
Lindsay Moss. "Autism may affect one in 100 children."
この報道のもとになったのは、7月15日発行の The Lancet に載った論文です。
この論文は、大がかりで入念な総人口調査の結果をまとめたものです。対象になったのは、イングランドの西テムズ地方で1990年7月から91年12月までに生まれた子どもたち56946人です。調査が行なわれた時点で、子どもたちは9歳から10歳でした。この中から、定期検診や親・学校からの報告をもとに、自閉症の可能性がある1515人を見つけ出し、詳しい検査、親を対象にした問診を徹底的に行ない、自閉症やそれに近い発達の遅れが見られ、特別な支援が必要な子として確認されたのは255人です。
この255人を対象に、いくつもの診断基準から検討し、内訳は次のようになりました。
国際的な診断基準ICD-10に合致する小児自閉症: 1万人中38.9人 (257人に1人)
広い意味での自閉症スペクトラム、非定型自閉症: 1万人中77.2人 (130人に1人)
合計: 1万人中116.1人 (86人に1人)
過去の症例をふまえた狭い意味での小児自閉症: 1万人中24.8人 (402人に1人)
これまでの調査よりも多くの自閉症児が確認された理由として、診断基準の変化と、より徹底的な調査を行なったことを挙げていますが、論文の著者たちは自閉症児が本当に増えた可能性も否定しないと言っています。
この論文で分かるのは、現在の国際的な診断基準に該当する自閉症児が257に1人の割合で発見されたことと、広い意味での自閉症スペクトラムに相当する子まで含めると86人に1人の割合で発見されたことです。
Gillian Baird, Emily Simonoff, Andrew Pickles, Susie Chandler, Tom Loucas, David Meldrum, Tony Charman. "Prevalence of disorders of the autism spectrum in a population cohort of children in South Thames: the Special Needs and Autism Project (SNAP)." Lancet 2006; 368: 210-15.
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