記事はグランディン教授の紹介から始まり、司会者の質問に教授が答える形式になっています。読んでみて印象に残った点を紹介します。
グランディン教授は幼いころから独特な聴覚を有しており、英語の子音を聴き取ることができなかったそうです。それで、言葉を覚えるのが遅く、3歳半になってから自分で話せるようになりました。(このあたりの内容は日本語版の出ている著書にも書いてありますね。)
ただし、声の調子・抑揚を聴き取るのが上手で、これが相手の感情を読み取る手がかりになったそうです。目線を合わせることがなぜ重要なのか分かったのは、50代になって心理学者サイモン・バロンコーエン教授の著書を読んでからでした。
今でも、単に社交のためだけに行なわれる無駄話には興味がないそうです。
親たちに対しては、子どもが言葉を使って自分の要求を表現できるように励ましていくことが重要だと助言しています。どうしても音声言語の出ない子には、絵や実物を使った表現などを教えるのが良いと言っています。
この記事で興味深いのは、いわゆる「心の理論」説、つまり自閉症児は他者の心理を読み取ることが不得意であるという仮説に対してグランディン教授が反論している箇所です。過剰な刺激の溢れる教室やレストランで自閉症児がパニックを起こしていても、定型発達の人たちはその苦しさを理解できないという例がしばしばあります。これは「ノーマル」な人たちが自閉症児の心理を読み取ることが不得意であることを示しているというのです。
Exploring Language
"Q&A: Temple Grandin on Autism & Language"
by Vikki Valentine and Jon Hamilton