2006年04月23日

北アイルランド: 自閉症の診断まで3年待ち?

自閉症に伴う困難を最小限にする方法として国際的な学界などで合意が得られているのは早期集中型の教育です。具体的な方法については個人差もあるし、専門家によって意見も分かれていますが、早期集中である点と親の役割を重視する点では一致ししています。そして早期集中型の介入を始めるための出発点は、早期発見と早期診断です。このための体制が整っているかどうかは、地域によって大きな差があります。

現在の標準的な診断基準では3歳にならないと正式に自閉症と宣告が行なわれないことも多いので、もっと早く発見するための検討項目を揃えるための研究も行なわれています。

その一方で、3歳になった時点で、正式の診断と多角的な検査によって個別教育計画 (IEP) を作成し、専門家の監督と協力による早期介入の体制が整っている地域もあります。(人件費がかかるのでこの予算がいつまで続くかは分かりませんが。)

ここまでは前置きです。

さらに、地域によっては3歳でやっと順番待ちに入れるという例もあります。英国のネット新聞に載った3月31日づけの記事によると、北アイルランドではその待ち期間が最大で35ヶ月にもなるそうです。子どもはもうすぐ6歳です。早期介入が最も効果的とされる時期はすでに過ぎているかもしれません。

マギニス卿という政治家は7歳のお孫さんが自閉症です。このマギニス卿が、北アイルランドの親たちの団体と一緒に、ロンドンの貴族院でこのことを訴えました。昨年の調査によると北アイルランドでは、自閉症が疑われて診断待ちの幼児が686人、学齢期の自閉症児は3500人、大人の自閉症者は20,000です。自閉症と診断される子どもの数も、昨年までの3年間で3倍に増えたそうです。

現在のように対応が遅い状況をマギニス卿は「許されざる醜聞」(scandalously unforgivable) と言って非難しています。

"Three year delays in autism diagnosis."
http://www.tyronetimes.co.uk/ViewArticle2.aspx?SectionID=2617&ArticleID=1414243
posted by iRyota at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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