2006年04月08日

混乱する報道: キレーション中の死亡事故

アフリカ生まれで英国に住んでいた5歳の自閉症児が米国でキレート剤の投与を受けているときに心臓停止で死亡したという報道が2005年の8月にあり、血液中のカルシウム濃度が異常に低かったため、カルシウム排出のために使われるキレート剤を誤って投与したことが原因だろうとCDCの専門家が語った2006年1月の報道については、このブログでも紹介しました。

その後、3月になって、1月の談話を別の角度から採り上げた報道がAPから配信されました。今回の報道を要約するとこうなります。

「自閉症に対して効果があると一部の親たちが信じている鉛中毒の薬が原因で二人の子どもが死亡したという政府発表」("A drug that is sometimes used to treat lead poisoning - and is also believed by some parents to be effective against autism - caused the deaths of two children last year, the government said Thursday.")

このほかに同じ薬を投与されて2003年に亡くなった成人女性の例も挙げています。

自閉症に対するキレーションの効果を支持する医学的証拠がなく、今回の薬は自閉症の治療薬として認可されていないとも書いてあります。

ただし、記事を細かく読むと、投与された薬は、心拍の乱れや骨肉腫などの対策として、カルシウム排出に使われるエンドレートだと書いてあります。

1月の報道とは違い、鉛中毒に使うカルシウムEDTAと間違えてエンドレートを投与したことには触れていません。予備知識の無い人が読むと、鉛中毒に使うカルシウムEDTAが危険なのだと誤解しそうな記事です。カルシウムEDTAの投与で深刻な副作用が起きたという報告が皆無であることにも触れていません。



振り返ってみると、1月の報道ではEDTA2ナトリウム (Disodium EDTA) とEDTAカルシウム2ナトリウム (Calcium Disodium EDTA) の違いを説明していましたが、ヴァースネートとエンドレートという一般名については誤解しかねない、好意的に呼んだとしてもどちらがどちらなのか不明確な書き方がなされていました。



EDTAは、どちらのタイプも水銀に対して効果的な薬ではありません。このことは、どちらの報道でも触れられていません。
posted by iRyota at 10:44| Comment(0) | TrackBack(1) | 重金属 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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キレーション
Excerpt: キレーションキレート(chelate)とは化学の用語で、複数の配位座を持つ配位子が配位していることをいう。このようにしてできている錯体をキレート錯体と呼ぶ。キレート..
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