ケトン体食療法についてお知らせしましたが、これは炭水化物を厳しく制限するダイエットで、続けることが大変な上に、最初は入院も必要です。栄養不足や腎臓結石の原因にならないよう、緻密な計算も必要です。そこで、もっと実施しやすく同様の効果が得られる方法として、修正型アトキンス・ダイエットの臨床実験が行なわれ、その結果が2005年12月に米国てんかん協会の集まりで発表されました。アトキンス・ダイエットは脂肪を多め、炭水化物を少なめに摂取する食事で、脂肪の燃焼を促し、やせることが目的のようです。今回の実験は、これにジョンズホプキンス流の修正を加え、ケトン体食療法と同じように、てんかん発作の抑制効果を調べたものです。費用はアトキンス基金から出されました。
このダイエットは、ケトン体食療法と違って、カロリー、タンパク質、水分の摂取量に制限がありません。ケトン体食療法を始めるときは入院・絶食を必要としますが、これもアトキンスでは不要です。
実験の対象となったのは、投薬で効果が見られず、1週間に4回から470回の発作があった3歳から18歳の青少年20人です。通常のアトキンス・ダイエットよりは炭水化物を少なくした食事を6ヶ月間おこないました。ダイエットを継続できたのは16人で、そのうち発作が半減したのは13人、発作の回数が1割未満になった子が7人、発作がゼロになった子は4人でした。効果が見られなかった子は全体で3分の1です。全般的に副作用は少なかったのですが、一人は短期間の入院を経験しつつダイエットを続けました。大半の子は、この期間中に体重が増えました。
ただし、このダイエットは保健関係の専門家によるチームが監督しながら行なうべきで、素人だけで実施しないようにと、ジョンズホプキンス児童センターの小児神経科医エリック・コソフ博士は述べています。そして、もっと厳しいケトン体食療法への導入として位置づけるべきだとも言います。
以上、ジョンズホプキンス医学研究所による記者会見の資料を中心にまとめました。
"Modified Atkins Diet Effectively Treats Childhood Seizures: Two-thirds of children benefited."
2006年03月03日
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