2006年02月28日

発作を減らすケトン体食療法の論文

難治性てんかんの子どもたち150人が実施したケトン体食療法の効果を追跡調査した結果は2001年に論文として全米小児医学会の機関誌に掲載され、今では全文を閲覧できます。すでに紹介した記事と概要は同じですが、論文では細かい数字を丹念に報告しています。

劇的な効果が見られ、発作が皆無になって薬も不要になった子もいれば、発作の回数や薬の量を減らすことができたという範囲の子もいます。全く効果が見られず、手術に踏み切った子もいます。

副作用として心配なのは、栄養不足による発育不全、心臓への影響、それに腎臓結石です。栄養学的には慎重な配慮があり、身長の伸びと心臓への影響は正常範囲でした。腎臓に石ができた子は112人中6人ですが、定期的な血液と尿の検査や、水分を多く摂ること、カルシウムの量を調整することなどで、ダイエットを継続することはできると、論文を書いたお医者さんたちは考えています。

こういった結果でも、数多くの新薬を上回る水準で、効果のわりに副作用も少ないと著者たちは判断しました (It is more effective than many of the newer anticonvulsants and is well-tolerated when it is effective)。

アンケートに答えた親たちの中で、ほかの親たちにも試してみることを薦めたいと答えた親が9割でした。

Cheryl Hemingway, John M. Freeman, Diana J. Pillas and Paula L. Pyzik. (2001.) "The Ketogenic Diet: A 3- to 6-Year Follow-Up of 150 Children Enrolled Prospectively." Pediatrics: 108.4, pp. 898-905.


下記のリンクで全文を閲覧できます:


印刷用ファイル (PDF) もあります:
posted by iRyota at 19:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 生化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
iRyotaさん、

詳細に亘る数字を掲載してくださって、ありがとうございました。

「新薬を上回る水準で、効果のわりに副作用が少ない」という筆者の結びと、大変な食事制限にもかかわらず「親たちの9割が他の人に薦めたい」と答えた点は、感心しました。

日本では隅っこに追いやられている感がありますが、米国では又、こういった古い療法でも見直される時期に来ているようですね。

なぜ、効果があるのか?が、判っていない点も医学界で推進されない要因でしょう・・・


Posted by だこー at 2006年03月01日 12:09
ダイエットは医師より栄養士が主役になる療法です。もともと栄養学的な側面に精通しているお医者さんはあまり多くないです。それは米国でも同じかもしれません。

個人的には薬物投与に反対するつもりもありません。ただ、どんな方法でも、効かない子や合わない子がいる可能性、副作用の可能性に付いて充分に知っておくことは必要です。知識と選択肢は多い方が良いという立場で海外の情報を紹介しています。
Posted by iRyota at 2006年03月02日 07:43
iRyotaさん

実際の場面では、米国でもどれくらいこの療法をしているかは、わかりませんね。
やはり、栄養学と医学はまだ直結しているわけではなく、全体としては日本と同じかもしれません。

私は、薬物投与は反対するどころか、てんかん薬をありがたく思います。
反面、副作用に頭が痛いのも事実です。

きっと、100人に1人、全国に100万人と言われている「てんかん」ですから、この薬で多くの方の命が守られ、生活が成り立っているでしょう。

iRyotaさんの仰る通り、「知識と選択肢」として本当に参考になります。
(英語ができませんので、普段海外の情報を目にすることがないんです。海外の治療は、頭のどこかでいつも気になっていました。)



Posted by だこー at 2006年03月03日 13:01
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