具体的には、脳波に詳しいお医者さんと相談し、必要があれば発作を抑える薬を服用したり、ヴィタミンB6やマグネシウムの使用を検討するなどの選択肢が考えられます。ただし、どの薬も、B6も、効果には個人差があります。全ての子に必ず効くという方法はありません。処方薬には副作用もあるし、一つの方法で完全に発作を抑え込むのは難しいばあいが多いので、いくつかの組み合わせを考えるのが実際的です。
そういった選択肢の一つとして米国でしばしば話題になるのはケトジェニック・ダイエットと呼ばれる食事療法です。脂肪を多く、タンパク質と炭水化物を少なく摂取する食事で、なぜ効果的なのかは未解明なのですが、さまざまな薬で発作を抑えることができなかった子どもたちに薦められています。
2003年に発表された追跡調査の記事ですが、日本ではあまり知られていないようなので、概要を紹介します。この調査の中心になったのは、医学の名門ジョンズホプキンズ大学のジョン・フリーマン医学博士です。
150人の子どもたちがこの調査の対象になりました。年齢は1から16歳、平均して週2回の発作があり、複数の薬で効果が見られなかった子たちです。150番目の子が実験に加わって3年後にアンケート調査が行われ、答えが得られたのは107人でした。35人の子どもたちの家族が電話での聞き取りに応じました。
食事療法を実施した150人のうち、1年以上続けたのが83人でした。50人は発作の回数が9割から10割減少しました。さらにその中で44パーセントは薬も不要になっていました。
食事療法をやめた後も3年から6年の期間で発作の回数は半分に抑えられていました。通常の食事に戻した後でも発作が再発せず、薬も不要な状態が続いている子も多いそうです。沢山の子どもたちにとって長期的な効果があったと言えそうです。
記事のもとになった論文:
"The Ketogenic Diet: A 3- to 6-Year Follow-up of 150 Children Enrolled Prospectively." Pediatrics Vol. 108, No. 4; October 2001.
今回は論文に目を通したわけではなく、てんかん専門のネット新聞に載った記事をもとにまとめました。