2006年02月05日

大きいのは大脳皮質: 自閉症児の脳

ノースキャロライナ大学チャペルヒル校で行なわれた調査の結果、自閉症児の大脳皮質が大きめであると確認されました。報告書は論文として、2005年12月、米国医師会が発行している精神医学専門誌に掲載され、記者会見も行なわれました。

記者会見の内容をもとに分かりやすい記事を報道しているのは、ウェブMDという医療関係者むけのネット新聞です。

調査の対象となったのは生後18から35ヶ月の自閉症児51人の集団と、同年代で自閉症ではないが発達に遅れのある子どもたちと自閉症でもないし発達に遅れのない子どもたち25人の集団です。頭囲の測定と、MRIによる検査が行なわれました。

頭囲については、0歳から3歳の自閉症児113人と、健康な子どもたち189人のカルテも調べました。

これらの集団を比較して分かったのは、自閉症児の大脳皮質が大きく、統計学的に見て偶然を超える範囲に達していることです。大脳皮質は思考、知覚、記憶などを処理する部分です。大脳皮質の中で、肥大の証拠は灰白質にも白質にも見られ、大脳皮質全体に渡っていました。

一方、平衡感覚や手足の協調運動を制御する小脳に肥大は全く見られませんでした。

今回の記者会見では、自閉症児の脳も出生時には特に大きくはなく、1歳の誕生日を過ぎてから急速に大きくなる傾向にあると発表された様です。



論文の要旨は無料で公開されています。全文の閲覧には、専門誌 Archives of General Psychiatry の出版社と契約している大学の図書館や医療機関のコンピュータを利用するか、お金をはらうことが必要です。

要旨の内容は上記の記事とほぼ同じですが、一つ興味ぶかい記述があります。著者となった先生方が、自閉症児における大脳皮質の急速な肥大が始まる時期を推測していることです。間接的な証拠による推測だとことわってはいますが、その時期は出生後で、1年目の後半であろうと言っています。



余談ですが、この調査が行なわれたノースキャロライナ大学チャペルヒル校 (UNC-Chapel Hill) は、有名なTEACCHプログラムが始まった大学です。レオ・カナーが創刊した自閉症専門誌 Journal of Autism and Developmental Disorders の編集部もこのチャペルヒル校にあります。ただし、今回の論文が載ったのは別の専門誌です。

自閉症児の脳が大きめの傾向にあることや、大きくなる時期が出生後であることはカリフォルニア大学サンディエゴ校で行なわれた研究でも明らかにされて来ました。今回は別の大学でもほぼ同様の結果が見られたことで、この知見の確実性を裏付ける証拠が一つ増えたことになるでしょう。
posted by iRyota at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 脳と神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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