以下は1月18日の『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』紙に載った記事からの要約・抜粋です。米国における医療部門の監督官庁であるCDCには鉛中毒予防部もあります。この部署で主任をしているメアリー・ジーン・ブラウン博士によれば、EDTAと呼ばれる薬には2種類あるそうです。EDTA2ナトリウム (Disodium EDTA) とEDTAカルシウム2ナトリウム (Calcium Disodium EDTA)で、どちらも無色透明、匂いもないそうです。薬品としての一般名 (ジェネリック名) はVersinateとEndrateです。
死亡した男の子の血液検査ではカルシウムの値が5ミリグラムと異常に低く、これはEDTA2ナトリウムによって血液中のカルシウムが奪われた結果だと考えられます。
ブラウン博士によれば、同じ間違いによる死亡報告が2件あるそうです。テキサスで鉛中毒の治療として行なっていたキレーション中に亡くなった2歳の女の子と、3年前にオレゴンで動脈硬化の治療として行なっていたキレーション中に亡くなった成人女性の例です。血液中のカルシウム濃度は7から9ミリグラムが正常範囲ですが、この2件ではどちらも5ミリグラム未満でした。
鉛中毒の治療に使われているEDTAカルシウム2ナトリウム、別名カルシウムEDTAは、血液中のカルシウムをキレート排出させないそうです。
キレーションの臨床的な有効性は鉛中毒以外の症状に対して証明されていないけれども、適切な方法で行なえば無害であるともブラウン博士は言っています。EDTA2ナトリウムをキレーション治療に使うべきではないという警告は医師たちのあいだでよく知られており、今回も誤って投与した結果に違いないそうです。
ただし、死亡した男の子にキレート剤を投与していた医師からの確認は取れていません。
今回の記事では、鉛中毒やさまざまな疾患の治療として行なわれ、最近は自閉症児に対しても行なわれているキレーションに深刻な危険が伴うわけではないにせよ、自閉症に対するキレーションの有効性が証明されたわけでもないと述べています。
http://www.post-gazette.com/pg/06018/639721.stm