2005年12月27日

ビタミンB6とマグネシウムの研究

自閉症を完治させる方法ではないし、全ての自閉症児に効果が見られるわけでもありませんが、自閉症児の一部に症状の軽減が見られる方法としてヴィタミンB6の研究は長い歴史があります。

自閉症児へのB6投与について最も長く研究をしてきたのは心理学者のバーナード・リムランド先生 (Ph.D) です。1960年代、ヴィタミン剤を飲ませたら症状が軽くなったという親たちからの手紙をいくつか受け取ったときは懐疑的だったそうです。色々と調べていくうちに、さまざまなヴィタミンの中でも特に効果的なのがB6であることや、その代謝にマグネシウムが必要であることなどが分かり、実験も行ないました。



試しに飲ませてみて効果があると思われた自閉症児の集団を対象に、厳密な二重盲験を行ない、偽薬を投与している期間中より本物のB6を投与している期間中の方が症状は軽いこと、つまり効果が本当であることを確認しました。



リムランド先生以外にも、客観的な方法でB6を自閉症児の集団に投与した実験報告は沢山あり、ほとんどで効果が確認されています。



B6は大量に投与しないと効果が見られないことが多いです。そして、大量投与による副作用を危惧する声も挙がりました。実際に報告された副作用は、手足のしびれによって歩行が困難になるなどの症状でした。これはマグネシウムが不足したときに起きる症状で、マグネシウムの補充によって解消することも知られています。実際に手足のしびれが報告されたのも、マグネシウムを補充せずにB6だけを大量に投与した例でした。



B6がフェノール硫黄転換酵素という酵素のはたらきを阻害することも危惧されましたが、これもマグネシウムの補充によって解消できることが分かりました。



こうして長年の積み重ねがあり、危険の少ない方法であることも分かっているのに、自閉症関係者の間で、B6はなかなか普及しませんでした。理由は分かりません。もしかしたら、物質自体が特許になるような新薬に比べてヴィタミンやミネラルは安く製造することが重要なので、儲からないせいかもしれません。

中々普及しない理由のもう一つは、B6の味が非常にまずいことです。カプセルを飲めない子のばあい、せっかく処方してくれても、飲んでくれないことが多いです。かといって砂糖や乳糖を沢山使えば、おなかの調子が悪くなって、症状の軽減を確認できないことも多いようです。

1960年代からリムランド先生の研究に協力してきたオレゴン州のカークマン・ラボラトリーズ社では、何とかして飲みやすく、悪影響の少ない味付けは無いものかと努力を重ねてきました。それで錠剤・粉末・液体などが開発されてきました。B6と一緒に投与した方が良いマグネシウムや各種ヴィタミンも配合されています。



ひきつづき、参考になりそうな検査、商品の購入方法、飲ませかたの工夫なども紹介するつもりです。
posted by iRyota at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 生化学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック