2005年12月24日

自閉症児のミラー・ニューロンが機能しない

ヒトやサルの脳で、作業をしているときに電流が走るだけでなく、誰か別の人が同じ作業をしているのを見ているときにも同じように電流の走る箇所があります。ここは観察と模倣を行なうときに重要な役割を果たす神経が存在する箇所と考えられており、ミラー・ニューロンと呼ばれています。

UCLA (カリフォルニア大学ロサンジェルス校) で医学や心理学を扱っているいくつかの研究機関が協力し、自閉症児の脳内でミラー・ニューロンがどう作用しているかを調べました。いわゆる高機能と呼ばれる種類の自閉症児10人と、定型発達 (普通) の子どもたち10人を対象に、怒り・恐れ・喜び・悲しみなどの感情を想起させる写真を観察させ、模倣をさせつつ、そのときの脳の活動状況をfMRI (functional Magnetic Resonance Imaging) という装置で調べました。

被験者となった自閉症児は、それと別に自閉症状の度合いも詳しく検査しました。課題としてやらされた作業は、すでに可能な作業であることが確認されていました。

結果として分かったのは、自閉症児のばあい、ミラー・ニューロンの中枢部と考えられている下前頭回の弁蓋部という箇所での活動が、全くと言っていいほど見られなかったことです。特に、自閉症状の度合いが強い子ほど、ミラー・ニューロンは不活発でした。

又、自閉症児のばあい、脳内で感情を司る箇所の活動も低下していました。

一方、視覚や顔の筋肉を動かす箇所はfMRIで見ても正常に活動していました。

この研究は、主に米国の国家予算による資金で行なわれました。今回の情報源は記者会見による発表ですが、結果を報告する論文が近いうちに専門誌にも発表される予定です。



posted by iRyota at 11:56| Comment(1) | TrackBack(0) | 脳と神経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
キーワードのみを調べてみました

部位 (8番)
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/brain-h/r-surface.html

14にウエルニッケの説明


ミラーニューロン
http://www.jiten.com/dicmi/docs/k32/23065.htm

鏡ニューロン(mirror neuron)の障害が自閉症の病理に関連があるということが示唆されています。
http://www.biotoday.com/view.php?n=6748


下前頭回の弁蓋部と三角部をブローカ運動性言語中枢Broca's motor speech centerと呼びます。
http://www.asahi-net.or.jp/〜RP5T-HR/naminou.html

関係はどうなんでしょう??
http://brain.bri.niigata-u.ac.jp/〜stsuji/resrc/disease/metab/vitamins/vb1/wernicke/wernicke.htm
Posted by ふたごのせんぷーき at 2005年12月25日 21:47
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